保険料を負担していない人が、満期や解約又は被保険者の死亡により、
生命保険金を受け取った場合には、保険料を負担した人からその生命保
険金の贈与があったものとされます。
ただし、被保険者の死亡により受け取った生命保険金のうち、被保険者
が保険料の負担者となっていたものについては、贈与税ではなく、相続
税の対象となります。
例えば、夫が契約者であり、かつ、保険料の負担者であった生命保険契
約に基づき、妻が、満期保険金を取得した場合、夫から妻に生命保険金
の贈与があったものとされます。
ところで、妻がこの受け取った保険金で居住用不動産を取得したとした
ら、その保険金の贈与について、贈与税の配偶者控除の規定を適用する
ことができるのでしょうか?
これは適用することができます。
贈与により取得したものとみなされる保険金も、贈与により取得した
金銭に含まれるとされるからです。
それでは、贈与税の配偶者控除の規定をもう一度確認しておきましょう。
この特例は、婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住
用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円
のほかに最高2,000万円まで控除(配偶者控除)できるというものです。
この特例を受けるための要件としては、
(1)夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと
(2)配偶者から贈与された財産が、自分が住むための居住用
不動産であること又は居住用不動産を取得するための金
銭であること
(3)贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得し
た国内の居住用不動産又は贈与を受けた金銭で取得した
国内の居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んで
おり、その後も引き続き住む見込みであること
があります。また贈与税の申告も必要となります。
大串 恵子