相続税の申告書についての税務調査の場面です。国税調査官2名、相続人長男、
調査立会税理士での場面での調査内容です。シンプルな内容にしています。
(国税調査官)長男さん、長男さんのお子様2名の名義の○○銀行の預金につい
てお伺いしたいのですが?
(長男)はい。
(国税調査官)3名の預金口座のうち△△支店の定期預金1千万円づつ有ります
が、ご存知ですか?
(長男)はい。
(国税調査官)3口座とも同日に同額が、10年前から預入をしていますが何処か
ら預け入れたのですか?
(長男)被相続人である父から、贈与でもらったものです。
(国税調査官)預金通帳は今ありますか?
(長男)はい。持ってきます。(国税調査官に提示する。)
(国税調査官)事前に通帳の届出印を調べたのですが、3口座とも同じ印鑑でた。
しかも被相続人の通帳の届出印と同じでした。本当は被相続人がこ
れらの通帳を所有し、管理していたのではないでか?
(長男)・・・
国税調査官の狙いは、相続税の申告書に計上されていない財産です。
被相続人が形成した財産が家族名義になっていないかを調べます。
被相続人が生前に、何かあったら心配だからと、家族の名義で預金することが良
く有ります。税理士の目から見て名義預金は貯まるばかりで引出が無いケースがほ
とんどです。贈与で貰ったなら、貰った家族本人が管理し、少額でも良いので引出
して、使って下さい。基礎控除額以下の贈与は、意外と贈与の事実が証明しにくい
ものです。上場株式、投資信託も同様です。
最近よく指摘されるのが、同族会社の株式です。法人税申告書別表(二)株主の
明細書を国税調査官は、疑います。会社には会社法で株主名簿の保存を義務付けて
います。実際にはない会社も有ります。父かかってに自分の株式の一部をかってに
家族名義に振り分けることは簡単です。重要なことは貰った家族が、貰った事実を
認識し、所有権、処分権が有ることと貰った財産からの果実(利息、配当金等)を
受取ることです。
西角 完二