「相続税対策」!
最近は、1週間に1度は新聞雑誌などで目にするキーワードです。
8月9日付けのコラムでプレゼント企画を案内させて頂いていただいた
「週刊ダイヤモンド 合併特大号」の表紙には大きな文字で書かれていま
した。特集記事を私も読みましたが、基本的な税制から改正内容、税務調
査の内容ままで多岐にわたり記事が書かれていました。(争族についての
記事もあります。)
相続税対策といっても大きくは相続税の「税額の対策」と「納税資金の
対策」の2つです。「税額の対策」は、相続税法や財産評価の規定を利用
した財産減少や生前贈与等による財産移転により、税額を少なくする節税
対策です。「納税資金の対策」は、原則として金銭納付となる相続税を納
付するための資金をどうやって準備するかの対策です。
この2つの対策に効果があり対策の王道というべきものは、生前贈与です。
少ない税コストで現金を贈与したり、収益物件を贈与し相続人の収益として
お金をためるといった贈与があります。
少ない税コストでの現金の贈与の場合、贈与税の基礎控除110万円を活用
しての贈与があります。時間がある場合は大きな効果があり、配偶者や子供
に毎年基礎控除の範囲内で贈与した場合、1年あたりでは少額でも10年、15
年、20年と月日が重なれば(3年以内の生前贈与加算を考慮しても)効果は
絶大です。
また、時間がない場合でも相続税の税率より少ない税負担の贈与であれば
効果はあります。500万円を贈与した場合、贈与税は53万円(負担率10.6%)
です。1,000万円を贈与した場合、贈与税は231万円(23.1%)です。相続税
の税率が、高ければまとまった贈与でも効果があります。
賃貸アパートをお持ちの方は、建物を相続人への贈与し、賃貸収入を相続
人で貯蓄し納税資金にあてる方法です。
贈与により、被相続人が賃貸収入を貯蓄することで相続財産の増加を抑え
ることができます。また、被相続人の所得税対策の効果もあります。
建物贈与の贈与税が高くても、相続税、所得税の減少効果が上回る場合が
あります。
贈与税の超過累進税率の税率テーブルは、相続税よりも上がりが早い(1,
000万円超で50%)ですが、実際の負担率はそうではありません。
贈与税の金額だけで判断するのではなく相続税の減少の効果などを考慮し
たうえで判断しましょう。
税理士 呉羽 範行