小規模宅地等の特例とは、亡くなった人などが事業や住まいなどに使っていた
土地のうち一定の要件を満たせば、事業用の土地の場合は400㎡、居住用の土地
の場合には240㎡、貸付用の土地の場合は200㎡までの部分について、一定の割
合が減額される特例です。
今回はこの特例のうち住まいに使っていた土地についてお伝えしたいと思います。
<この特例を受けるための要件は?>
この特例を受けるためのポイントは(1)「相続開始直前のその土地の利用状況」
と(2)「相続後から相続税の申告期限までの利用状況」になります。
居住用の土地の場合(特定居住用宅地等)
(1)相続開始直前のその土地の利用状況が
① 被相続人が居住していた場合
② 被相続人と生計を一にしている親族が居住していた場合
であり、かつ
(2)その土地を取得した親族が下記の要件に該当する場合について、この特例を
受けることができます。
① 被相続人が居住していた場合
・配偶者が取得
取得のみで適用を受けることができます。
・被相続人と同居していた親族が取得
相続後から相続税の申告期限まで居住、所有している場合について適用を
受けることができます。
・被相続人と別居していた親族が取得
配偶者と同居している親族がいない場合で、相続開始前3年以内に日本国
内にある自己又は配偶者の所有する家屋に居住したことがない親族である
者が取得し、相続後から相続税の申告期限まで所有している場合について
適用を受けることができます。(居住は要件に入りません。)
② 被相続人と生計を一にしている親族が居住していた場合
・配偶者が取得
取得のみで適用を受けることができます。
・生計を一にしている親族が取得
相続後から相続税の申告期限まで居住、所有している場合について適用を
受けることができます。
<どれくらいの減額ができるのか?>
居住用の土地の場合(特定居住用宅地等)は、240㎡までその土地の評価額の80%
まで減額することができます。
例:被相続人の自宅 評価額 5,000万円 地積 250㎡
5,000万円/250㎡(1㎡当たり20万円)×240㎡(限度面積)×80%(減額割合)
=3,840万円(減額金額)
自宅の評価額5,000万円が、この特例を適用すると5,000万円-3,840万円=1,1
60万円まで評価額を減額することができます。
<その他注意点>
・この特例は原則相続税の申告期限まで取得者が定まっていないと受けることがで
きません。
・この特例は申告することが要件となっていますので、この特例を受けて納付額が
ない場合でも申告する必要があります。
・複数の土地についてこの特例を受ける場合は、一定の面積まで(居住用のみであ
れば240㎡)しか適用を受けることができません。
この特例は要件を満たしていれば評価額を大きく減額することができます。
そのためにも事前に、この特例を受けることができるか、受けられない場合はどのよ
うにすれば受けることができるのか確認し事前に対策をしておきましょう。
池田 真哉