不動産賃貸業のオーナーさんへ小規模企業共済のすすめ
前回のスタッフコラムに「死亡退職金について」を掲載させて頂きました。実際の相続税の申告実務で相続人に死亡退職金が支給されるケースは、被相続人が同族会社の役員である場合が多く、まれに被相続人が現役のサラリーマンである場合があります。
今回おすすめするのは、独立行政法人中小企業基盤整備機構が取り扱っている小規模企業共済です。
不動産賃貸業の個人の方の相続対策にピッタリの制度です。不動産賃貸業のオーナーさんには退職金が有りません。(不動産管理会社などを併設していれば別ですが。)
この制度のメリットは掛金月額最高7万円で、年間84万円が所得税の確定申告の際に所得控除として控除されます。
契約者が死亡した場合、相続人が受け取る共済金は退職所得の取扱いとなり相続税の課税財産となります。死亡退職金の非課税規定(500万円×法定相続人の数)が適用可能です。
具体例でご説明します。
年間掛金84万円を25年間支払った場合、仮に運用利回りが0%でも、年間掛金84万円×25年=2,100万円は相続財産となります。法定相続人が4人の場合500万円×4人=2,000万円が非課税で相続税の申告上の相続財産は差額の100万円となります。
また、毎年の掛金84万円は所得税の確定申告で所得控除されますので、課税所得が900万円超1,800万円以下の方で有れば、所得税+住民税で84万円×約43.7%=約367,000円の負担が軽減されます。25年間ですと約920万円弱の節税となります。
小規模企業共済制度は解約をすると解約手当金は掛金を下回ることもあり、受取解約手当金は全額が確定申告の際に雑所得として課税対象となります。不動産賃貸業のオーナーさんの場合、自分の為でなく、相続人の為に無理のない範囲での契約が良いと思います。中途解約はご法度です。
税理士 西角 完二